家庭用太陽光発電とは?仕組みや注目される背景を簡単に解説!

電気代が高騰している影響もあり、自宅に太陽光発電システムを導入したいと考えている方も多いのではないでしょうか。

しかし、電気代が安くなるとはいえ、設置には高額な初期費用がかかったり、メンテナンスが必要になったりすることもあり、慎重に検討している方もいるでしょう。

そこで今回は、家庭用太陽光発電の基本的な仕組みや注目されている背景、設置のメリットやデメリットなどを解説します。

そもそも太陽光発電とは?簡単に解説

太陽光発電と聞くと、なんとなく「太陽のエネルギーで電気が発電できる」とイメージできるものの、詳しい仕組みについて知らない方も多いでしょう。

ここでは、太陽光発電の仕組みと家庭用・産業用太陽光発電システムの違いを解説します。

太陽光発電の仕組み

太陽光発電では、ソーラーパネルの一つひとつを構成している太陽電池によって、太陽の光エネルギーを直接電気に変換しています。

太陽電池は「p型」「n型」の半導体を重ね合わせた構造としており、太陽光が当たると電子(-)と正孔(+)が発生し、正孔(+)は太陽電池の裏側にあるp型の半導体へ、一方、電子(-)は太陽電池の表側にあるn型半導体側へ引き寄せられます。

そして、太陽光電池には表と裏のそれぞれに導線がつながれており、電子(-)が正孔(+)に流れる電子の流れから、電気を取り出す仕組みです。

家庭用と産業用の違い

太陽光発電は「家庭用」と「産業用」という区分がありますが、最も大きな違いは太陽光発電システムの容量です。

太陽光発電システムの容量が10kW未満なら住宅用、10kW以上なら産業用となります。

仮に一般の住宅に10kW以上の太陽光発電を設置した場合、産業用に区分されます。

また、産業用太陽光発電でFIT制度の承認を受けた場合は、20年間の固定買取価格で売電し続けられる一方、家庭用太陽光発電の場合は10年間の固定買取価格で売電が可能となり、FIT制度の固定買取期間にも違いが生じます。

なお、固定買取価格や余剰買取と全量買取のルールなども異なるポイントです。

そのほか、設置場所にも違いがあります。

家庭用太陽光発電の場合は基本的に屋根の上、稀にカーポートなどにも付けられていますが、産業用太陽光発電は屋根の上をはじめ、地面に設置された架台の上で設置されるケースが一般的です。

産業用太陽光発電は、農地や水上、山間部など厳しい環境でも運用されるケースを想定した設備が充実しています。

家庭用太陽光発電が注目される背景

新たに住宅を建てたり、住宅をリフォームしたりするときには、大半のケースで太陽光発電の設置を提案されることもあり、街中でも家庭用太陽光発電を多く見かけるようになりました。

では、なぜ家庭用太陽光発電の普及が拡大し、さらに導入する住宅が増えているのか、注目される背景を見ていきましょう。

取り組みやすいため

脱炭素社会に向けた取り組みにはさまざまな種類がありますが、太陽光発電は採用者にとってもメリットが多く、取り組みやすいことが注目されている理由の一つです。

というのも、近年、日本だけでなく世界中で地球温暖化が問題となっており、世界規模で取り組まなければならない社会問題になっています。

実際に日本政府も2050年に温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを目標としており、2030年の中間目標として再生可能エネルギー比率を36~38%に、さらに、そのうち14~16%を太陽光発電でまかなうとしています。

2020年度の段階で再生可能エネルギー比率が20%となっているため、2030年までの10年で再生可能エネルギー比率を12%程度上昇させなければなりません。

この目標を達成していくには、国や企業はもちろん、個人での取り組みも重要となります。

そこで太陽光発電の導入が注目されており、補助金制度などを通して一般家庭にも普及させようとしているのです。

また、補助金があるとはいえ、太陽光発電の設置にはお金がかかるケースがほとんどですが、PPAモデルを活用すれば初期費用やメンテナンス費が無料で取り組めます。

太陽光発電の普及に向けた動きが社会全体で拡大していることもあり、補助金を含むさまざまな設置方法の選択肢が増え、取り組みやすくなったことが注目されている背景の一つといえるでしょう。

参考:環境省『太陽光発電の導入支援サイト』環境省『脱炭素ポータル』

電気代が高騰しているため

家庭用太陽光発電が導入しやすくなったことに加え、電気代が高騰していることも注目を後押しする要因となっています。

ロシアのウクライナ侵攻などを背景として世界的なエネルギー危機が生じており、以下の通り日本でも電気料金の改定が行われました。

電気料金単価(円/kWh)
2021年4月 28円/kWh
2022年4月 34円/kWh
2023年2月 35円/kWh

(電力取引報などより年度単位で計算。ただし、2022年は4〜12月、2023年は1~2月で算出。)

参考:経済産業省資源エネルギー庁『2023年6月の電気料金、なぜ値上がりするの?いくらになるの?』

ここ数年で電気単価が大きく値上がりしており、kWh単位でみると数円の差ですが、家庭の電気料金に置き換えると、2021年と2023年で同じ電気使用量でも数千円、家庭によっては数万円アップにつながります。

また、日本のエネルギー自給率はたった11.8%しかなく、エネルギー資源のほとんどを海外からの輸入に頼らざるを得ない状況となっています。

そのため、ロシアのウクライナ侵攻などの予期せぬ出来事をきっかけにエネルギー危機が生じ、電気料金の高騰につながるという不安定な状況といえるのです。

このようなエネルギー自給率の低さや先行きの見えない電気料金の高騰などから、電気を購入するだけに依存するのではなく、太陽光発電によって自宅で発電することで電気料金の削減を目指したいという意識を持つ人が増え、家庭用太陽光発電が注目されています。

参考:関西電力 日本のエネルギー事情

義務化されるため

戸建住宅を含む新築建築物に対して太陽光発電の設置義務化を決めた自治体もあり、ニュースなどで注目されたのも一つの要因といえます。

東京都では、脱炭素化社会の実現やレジリエンス向上を目的に、延べ床面積2,000平方メートル未満の住宅を含む新築の建物に対して太陽光発電システムの設置を義務付けたほか、神奈川県川崎市でも一定の規模以上の建物に対し、太陽光発電の設置義務を検討しています。

これまで、京都府などで事業用の建物などに太陽光発電システムの設置を義務付けているケースはありましたが、東京都の戸建てを含む中小規模の住宅を対象とした太陽光発電の設置義務化は初めての取り組みであり、世間の注目を大きく集めました。

今後、東京都だけでなく、ほかの自治体でも戸建ての太陽光発電システムの設置義務化が決まる可能性があり、家庭用太陽光発電とはどのような仕組みなのか、設置費用やメンテナンス方法などについてあらためて注目する人が増えている状況です。

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太陽光発電に必要な設備とは?

太陽光発電といえば、太陽光パネル(ソーラーパネル)が並べられているのをイメージしますが、その他にもさまざまな機器が必要です。

ここでは、太陽光発電に必要な設備を解説します。

太陽光パネル(ソーラーパネル)

太陽光パネル(ソーラーパネル)は、先ほど解説した太陽電池をつなげてパネル状にしたものです。

太陽光パネルに太陽の光エネルギーが当たることで、電気を生み出します。

また、太陽光パネルをよく見てみると、小さな四角い板が見えますが、この最も小さな単位を「セル」、セルを板状につなげたものが「モジュール」もしくは「パネル」と呼ばれています。

接続箱

太陽光発電で生み出された電気は直流電力のため、パワーコンディショナーで交流電力に変換する必要があります。

しかし、各太陽光パネルで発電した電力をバラバラにパワーコンディショナーへ送ることはできません。

そこで、複数の太陽光パネルで発電した直流電力を一つにまとめる役割を果たしているのが「接続箱」です。

また、落雷で機器が壊れないようにする「避雷素子」や電気の流れをチェックする「開閉器」といった保護機能も組み込まれています。

パワーコンディショナー

太陽光パネルから得られる電流は直流(DC)ですが、家庭で使用する電気は交流(AC)であるため、パワーコンディショナーを通して直流(DC)の電流を交流(AC)に交換し、家庭で使える電力にしています。

電力量計

電力量計は、太陽光発電システムから発電された電気のうち、どれだけ売電されたのか、また、どれだけの電気を電力会社から買ったのかを計測する機器です。

電力量計により、発電効率や消費量を把握できます。

発電モニター

発電モニターは、太陽光発電システムの動作状況や発電量、消費電力量をリアルタイムでチェックできる装置です。

システムが正常に作動しているかはもちろん、日中にどれだけ発電しているのか、家電を使ったときにどれだけ電力消費量がアップするのかなどを確認するのに役立ちます。

蓄電池

太陽光発電システムだけを採用すると、日中の晴天時は太陽光発電の電気が使用できる一方、雨天時や夜間は太陽光発電の電気を使用できません。

また、災害などで停電になった場合も、晴れた日中なら電気を使用できますが、それ以外のタイミングは電気が使用できなくなります。

そのため、家庭用太陽光発電だけを導入している場合、自宅で消費する電力のすべてを太陽光発電でまかなうことができず、必要に応じて電力会社から電力を購入する必要が出てきます。

しかし、蓄電池があれば日中に発電した電気をためられるため、蓄電池にためた電気を夜間に使って自己消費を増やしたり、災害で電力供給がストップしたときに非常用電源として蓄電池にある電気を使えたりするメリットがあります。

蓄電池があるからといって、電力会社から電気を購入する量がゼロになるわけではありませんが、太陽光発電で作った電力を効率よく使えるため、採用する家庭もあります。

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導入方法の種類

家庭用太陽光発電システムの導入方法は、主に「自己所有」「PPA」「リース」の3つの選択肢があります。

それぞれの導入方法の違いを以下の表にまとめました。

自己所有 PPA リース
概要 太陽光発電システムを自分で購入・設置し、運用する仕組み。導入費用は自己資金からまかなう、もしくは金融機関から融資を受けるのが一般的で、自分で太陽光発電システムを所有できる。 PPA事業者(太陽光発電の設置・発電事業者)が一般家庭の屋根などの空きスペースに、事業者の負担で太陽光発電システムを設置する仕組み。
需要家(太陽光を設置してもらう側)は、太陽光を無料で設置できる代わりに、自家消費した分だけ電気代として支払う。
月々固定のリース料金を支払うことで、自宅の屋根などの空きスペースに太陽光発電設備を初期費用はかからずに設置できるモデル。
カーリースのように、購入ではなく月々定額で太陽光発電システムを借りる仕組み。
初期費用 設置費用 0円 0円
月額費用 0円 自家消費課金 リース料金
メリット 売電収入と自家消費の電気代削減効果が得られる 初期費用は事業者負担となるため、大きな出費が発生しない。
自家消費の電気代削減が期待できる。
メンテナンス費が事業者負担となる
初期費用は事業者負担となるため、大きな出費が発生しない。
売電収入と自家消費の電気代削減が期待できる
メンテナンス費が事業者負担となる
デメリット 初期費用が必要
天候等の条件によっては投資した費用を回収できないリスクがあるメンテナンスが必要
売電収入は事業者に充当される
自家消費分は有料
設置条件がある
毎月一定のリース料を支払うため、天候等の条件によっては投資した費用を回収できないリスクがある。
PPAより割高になるケースがある
設置条件がある
契約期間 なし 10~20年(契約期間経過後は、太陽光発電システムが無償譲渡される) 10年(契約期間経過後は、太陽光発電システムが無償譲渡される)

参考:太陽光発電協会『住宅用太陽光発電システムの導入方法の説明』

以上のような違いがあります。

では、所有方法ごとの特徴や違いについて、詳しく見ていきましょう。

自己保有

自己所有は、太陽光発電システムを自分で購入・設置し、運用する仕組みであり、シンプルな所有方法だといえます。

導入費用は自己資金からまかなう、もしくは金融機関から融資を受けるのが一般的で、所有者は契約者自身となります。

初期費用を負担しなければならないため、設置時に数百万円の支払いが生じますが、売電収入と自家消費の電気代削減効果の両方を得られることがメリットです。

ただし、契約者がメンテナンスに対応しなければならないうえに、気候や周囲の環境によって予定している発電量が確保できず、投資した費用を予定通りに回収できない可能性があることが懸念点です。

PPA

PPAという所有方法は、屋根などの空きスペースにPPA事業者負担で太陽光発電システムを設置し、発電した電気のうち自家消費した分を「電気代」としてPPA事業者へ支払うのが基本の仕組みです。

自宅の屋根を無償で貸すかわりに太陽光発電システムの設置や運用、保守などをすべて任せられる反面、電気料金が安くなるとは言い切れないことや、毎月支払う料金が変わることなどがデメリットです。

また、発電量が見込める家にしか設置できないなど、設置する上での条件も厳しいため、検討していても導入できない可能性があります。

リース

PPAと同じように、リースも太陽光発電システムを無料で設置できる仕組みの一つです。

月々固定のリース料金を支払うことで、自宅の屋根などの空きスペースに太陽光発電設備を無償設置でき、月々定額で太陽光発電システムを借りられます。

PPAとは異なり、発電した電気を使えるうえに、余剰電力の売電収入も得られます。

ただし、電気使用量や発電量にかかわらず、毎月一定のリース料金が発生します。

そのため、導入後の支出額(リース料金+発電しない時間帯の電気代ー売電収入)が導入前の電気代を上回る可能性も少なくないため、慎重に検討することが大切です。

まとめ

今回は家庭用太陽光発電の基本的な仕組みや注目されている背景、設置のメリットやデメリットなどを解説しました。

太陽光発電システムは電気料金を抑えたり、カーボンニュートラル社会を実現できたりするメリットがありますが、導入方法にはいくつか選択肢があるため慎重に検討することが大切です。

なお、太陽光発電システムは初期費用がネックになりがちですが、「シェアでんき」なら初期費用無料・月額費用無料で導入できるプランを提案可能です。
契約期間中はメンテナンスや維持・管理にかかる費用もシェア電気の負担となるため、契約者に手間や金銭的負担がかかる心配もありません。

「太陽光発電システムを設置したいけれど、初期費用の負担が心配」という方は、ぜひ一度シェアでんきへお気軽にご相談ください。

\初期費用・メンテナンス費用0円!/

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