太陽光発電の設置費用相場は?内訳や補助金、無料にする方法も解説!
省エネや節電、環境への配慮などを考えて、自宅に太陽光発電システムを導入する方が増えています。
たしかに、発電した電力を自家消費できたり、余剰電力は売電することができたりと経済的メリットを得られる可能性が高いのは事実である反面、初期費用が高額であり数百万円ほどかかるのが一般的です。
実際に自宅に太陽光発電システムの導入を検討しているものの、「設置費用はいくらかかるの?」と気になっている方も多いでしょう。
そこで今回は、太陽光発電の設置費用相場や、設置費用を抑えるために活用できる補助金、設置費用無料で導入する方法などを解説します。
目次
太陽光発電の設置にかかる初期費用の相場
太陽光発電システムの導入方法にはいくつか選択肢がありますが、「自己所有」という所有方法を選択する場合、初期費用は契約者が負担しなければなりません。
太陽光発電システムの設置にかかる費用相場(参考値)は以下の通りです。
全体 | 新築 | 既築 | |
---|---|---|---|
2012年 | 46.5万円/kW | 43.1万円/kW | 47.9万円/kW |
2014年 | 38.5万円/kW | 36.7万円/kW | 40.5万円/kW |
2016年 | 35.9万円/kW | 34.5万円/kW | 37.1万円/kW |
2018年 | 33.3万円/kW | 31.3万円/kW | 35.2万円/kW |
2019年 | 30.5万円/kW | 29.2万円/kW | 32.7万円/kW |
2020年 | 29.2万円/kW | 28.3万円/kW | 31.1万円/kW |
2021年 | 27.5万円/kW | 27.1万円/kW | 28.3万円/kW |
2022年 | 26.7万円/kW | 26.1万円/kW | 28.1万円/kW |
参考:調達価格等算定委員会『令和5年度以降の調達価格等に関する 意見(案)2024 年度の住宅用太陽光発電の調達価格』
戸建ての太陽光発電の平均積載量(平均容量)は4.4〜4.5kWであるため、仮に2022年に平均値にあたる4.5kWの太陽光発電を導入した場合、「4.5kW(平均設置容量)×26.1万円(平均kW費用)=約117万円」となるため、太陽光の導入にかかる初期費用は120万円前後であると算出できます。
さらに大きな容量にあたる8kWの容量を採用する場合は、「8kW(平均設置容量)×26.1万円(平均kW費用)=約209万円」となり、初期費用だけでも高額な費用がかかるとわかるでしょう。
設置費用の推移
先に解説した表からもわかるように、太陽光発電システムの設置費用の単価は年々安くなっている傾向にあります。
たとえば、新築住宅に設置する費用では、2022年の設置の平均値は 26.1万円/kWであるため、2021年設置より 1.0 万円/kW、2020年設置より 2.2 万円/kW安くなっていることがわかります。
【容量別】設置費用の相場
太陽光発電システムの設置費用の単価が年々安くなっていることもあり、システム全体の導入コストも安くなりつつあります。
2022年の新築の設置費用をもとに、1kw〜10kwまでの容量別でいくらの導入費用がかかるか見ていきましょう。
2022年の新築の住宅用太陽光発電のシステム費用平均:26.1万円/kW | |
---|---|
1kW | 26.1万円 |
2kW | 52.2万円 |
3kW | 78.3万円 |
4kW | 104.4万円 |
5kW | 130.5万円 |
6kW | 156.6万円 |
7kW | 182.7万円 |
8kW | 208.8万円 |
9kW | 234.9万円 |
10kW | 261万円 |
参考:調達価格等算定委員会『令和5年度以降の調達価格等に関する 意見(案)2024 年度の住宅用太陽光発電の調達価格』
平均単価が安くなっていることもあり、数年前に比べると比較的安く導入できるようになっているものの、平均積載量(平均容量)は4.4〜4.5kWを採用するには少なくとも100万円以上、平均よりも多い容量を載せるとなると、新車が購入できるほどの費用が必要になるとわかります。
太陽光発電の設置にかかる初期費用の内訳
太陽光発電と聞くと、ソーラーパネルが屋根の上に並べられているのをイメージする方が多いでしょう。
しかし、太陽の光をエネルギーとして、住宅で使える電力にするためには、ソーラーパネル以外にもさまざまな機器が必要です。
先に解説した太陽光発電のシステムの平均費用には、さまざまな機器の費用が合計されているため、ここでは費用の内訳とともに、太陽光発電に必要な機器ごとの用途を見ていきましょう。
太陽光発電パネル(ソーラーパネル)
太陽光パネル(ソーラーパネル)は、太陽電池をつなげてパネル状にしたものであり、太陽光パネルに太陽の光エネルギーが当たることで、電気を生み出します。
また、太陽光パネルをよく見てみると、小さな四角い板のことを「セル」、セルをつなげたものを「パネル」「モジュール」と言います。
太陽光パネルは1kWあたり14.5万円であり、太陽光発電システムの費用のうちの大きなウエイトを占めていることがわかるでしょう。
参考:経済産業省『令和5年度以降の調達価格等に関する意見(案)』
接続箱
太陽光発電で生み出された電気は直流電力のため、パワーコンディショナーで交流電力に変換する必要があります。
しかし、太陽光パネルで発電した電力をそのままパワーコンディショナーに送ると非効率であるため、いったんこちらの接続箱で直流電力を一つにまとめています。
また、落雷で機器が壊れないようにする「避雷素子」や電気の流れをチェックする「開閉器」といった保護機能も組み込まれており、接続箱は1つあたり2〜6万円が平均相場です。
パワーコンディショナー
太陽光パネルから得られる電流は直流(DC)ですが、家庭で使用する電気は交流(AC)です。
そのため、パワーコンディショナーを使って家庭で使える電力に変換しています。
パワーコンディショナーの費用相場は1kWあたり4.2万円ほどですが、太陽光パネルの容量が大きくなるにつれて、必要なパワーコンディショナーの容量も大きくなります。
架台
太陽光パネルを地面や屋根の上に固定する際の台や枠のことを「架台」と言います。
架台はステンレス製やスチール製、アルミニウム製などさまざまな材質のものがあり、材質によって耐久性やコスト、施工性などが異なります。
設置場所の状況などや気象条件などに応じて、最適な種類を選択することが大切です。
架台の費用相場は1kWあたり2.1万円ほどです。
蓄電池
太陽光発電だけを導入している場合、自宅で消費する電力のうち、夜間や悪天候の際などは電力会社から電力を購入する必要が出てきます。
また、災害で電力供給がストップした場合、晴れの日中なら太陽光からの電気を使えますが、夜間や悪天候のときは電力供給が再開するまで待たなければなりません。
しかし、蓄電池があれば日中に発電した電気をためられるため、夜間に蓄電池にためた電力を使って電力の購入量を抑えたり、非常用電源として蓄電池にある電気を使えたりするメリットがあります。
蓄電池の導入にかかる費用は以下の通りです。
蓄電池システム価格(万円/kWh) | 平均工事費(万円/基) | kWhあたりの導入費(システム価格+工事費)(万円/kWh) | |
---|---|---|---|
平均 | 約11~14万円/kWh | 約20~27万円/基 | 約13~17万円/kWh |
5kWh未満 | 約12~17万円/kWh | 約9~12万円/基 | 約15~20万円/kWh |
5~10kWh未満 | 約11~15万円/kWh | 約17~24万円/基 | 約13~17万円/kWh |
10kWh以上 | 約9~12万円/kWh | 約24~32万円/基 | 約12~16万円/kWh |
参考:三菱総合研究所『定置用蓄電システムの普及拡大策の検討に向けた調査』
家庭用蓄電池としては、5kWh〜7kWh程度の容量が一般的であるため、仮に5kWhの蓄電池を導入する場合は上記をもとに算出すると約65万円~85万円となるようです。
ただし、地域や容量によって費用感は異なるので、あくまで平均価格として参考にしてみてはいかがでしょうか。
決して安くはありませんが、太陽光で発電した電力を効率よく使える点や非常用電源になることをふまえて、導入されるケースが増えています。
発電量モニター
発電モニターは、太陽光発電システムの動作状況や発電量、消費電力量などリアルタイムでチェックできる装置です。
システムが正常に作動しているかはもちろん、家中の電力がみえる化されるため、電力を多く消費している要因はなにか、発電量の多い時間帯はいつかなどを把握しやすくなります。
発電量モニターの設置費用は6〜10万円ほどが相場です。
電力量計
電力量計は、太陽光発電システムから発電された電気のうち、電力会社にどれだけ売電したか、また、どれだけの電気を電力会社から買ったのかを計測する機器です。
電力量計の費用相場は1〜3万程度であり、なかには数千円のものもあります。
太陽光発電の設置費用を抑えるために活用できる補助金
毎月の電気料金が安くなるとはいえ、「太陽光の導入のために数百万円も支払うのはむずかしい」「初期費用が回収できるのか不安」など、設置費用がネックになっている方も多いでしょう。
ここでは、太陽光発電の設置費用を抑えるために活用できる補助金制度を4つ解説します。
まずは、4つの補助金制度の概要を以下の表にまとめました。
ZEH支援事業 | 次世代ZEH+(注文住宅)実証事業 | 次世代HEMS実証事業 | 地方自治体の補助金 | |
概要 | ZEH住宅の普及を促進するために、経産省と環境省が協同で実施している補助金制度 | ZEHよりもさらに厳しい基準のZEH+に、省エネ設備の導入条件を加え、次世代の環境に配慮した住宅を増やすための補助金 | 次世代HEMSの普及を進めるための補助金 | 東京都や神奈川県など地方自治体が実施している補助金 |
公募期間 | 2023年4月28日(金)10:00 ~ 2023年11月10日(金) 17:00締切 | 2023年4月28日(金)10:00 ~ 2023年11月10日(金) 17:00締切 | 2023年4月28日(金)10:00 ~ 2023年11月10日(金) 17:00締切 | 東京都・東京ゼロエミ住宅:令和5年4月3日(月)2024年3月29日(金) 神奈川県・太陽光発電初期費用ゼロ促進事業:令和5年度内 |
応募要件 | 新築住宅を建築・購入する個人 | 新築住宅を建築・購入する個人 | 新築住宅を建築する個人 | 東京ゼロエミ住宅都内に新築する住宅(戸建住宅・集合住宅等。床面積の合計が 2,000 ㎡未満のもの。)の建築主(個人・事業者) |
次世代ZEH+の交付要件を満たす住宅 | ||||
新築住宅の販売者となる法人 | ||||
蓄電システムまたはV2H充電設備(充放電設備)を導入すること。 | ||||
戸建住宅における『ZEH』の定義を満たしていること | 「ZEH+の要件」を満たし、かつ、以下のいずれか1つ以上を導入すること 1.蓄電システム 2.V2H充電設備(充放電設備) 3.燃料電池 4.太陽熱利用温水システム 5.太陽光発電システム10kW以上 |
太陽光発電初期費用ゼロ促進事業・法人・青色申告を行っている個人事業主者・神奈川県太陽光発電初期費用ゼロ促進事業費補助金交付要綱第4条第1項の要件を満たす者 | ||
燃料電池、太陽熱利用温水システムの設備を導入することも可 | ||||
SIIに登録されているZEHビルー/プランナーが 関与(建築、設計又は販売)する住宅であること | ||||
AI・IoT技術等による 最適制御を行う仕組みを備えていること | ||||
補助額・上限額 | ZEH:55万円/戸+α ZEH+:100万円/戸+α |
100万円/戸+α ※導入するシステムに応じて追加補助あり |
112万円/戸 ※導入するシステムに応じて追加補助あり |
東京ゼロエミ住宅・20万円から最大210万円 |
太陽光発電初期費用ゼロ促進事業・太陽光発電設備1kWあたり5万円・蓄電システム1台あたり12万円 |
参考:一般財団法人環境共創イニシアチブ『2023年の経済産業省と環境省のZEH助金について』
参考:東京都環境局『太陽光発電設備の設置に対する東京都の助成事業』
参考:神奈川県『令和5年度神奈川県太陽光発電初期費用ゼロ促進事業費補助金』
ZEH支援事業
そもそもZEHとは、「net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」を省略した単語であり、「エネルギー収支をゼロ以下にする家」という意味があります。
つまり、高断熱・高気密の高性能な住宅にしたうえで、太陽光発電システムや省エネ設備を導入することでエネルギー収支0の住宅を目指せば、1年間で消費するエネルギーの量を実質0以下にできるため、ZEH住宅を実現可能です。
ただし、ZEH住宅を目指すには費用がかかるため、ZEH基準を満たした住宅には55万円/戸+α、さらにZEHより厳しい基準のZEH+という基準を満たした住宅には100万円/戸+αの補助金があります。
次世代ZEH+(注文住宅)実証事業
次世代ZEH+(注文住宅)実証事業は、ZEH+に、蓄電池やV2Hなどの省エネ設備の導入条件をプラスし、さらに省エネ性能の高い住宅を増やそうとする事業です。
蓄電池やV2Hなどの省エネ設備があれば、さらにエネルギー収支を減らして環境に配慮した住宅を実現できますが、高性能な省エネ設備を導入するのには費用がかかります。
そこで次世代ZEH+(注文住宅)実証事業では、100万円/戸の補助金と、導入設備に応じてプラスの補助金を出しているのが特徴です。
たとえば、蓄電システムにはkWhあたり2万円、V2H充電設備(充放電設備)には75万円または補助対象経費の2分の1のいずれか低い金額を補助金として出しています。
次世代HEMS実証事業
次世代HEMS実証事業は、次世代ZEH+の条件を満たした住宅の太陽光発電の自家消費率を向上させたり、太陽光発電システムや蓄電池などの省エネ設備の効率アップを図ったりするために、HEMSなどのAI・IoTなどを活用する住宅を支援する補助金です。
そのため、省エネ性能の高い住宅であることはもちろん、HEMSなどのAI・IoT技術を採用していることが条件となっており、112万円/戸の補助を受けられます。
なお、導入設備に応じてプラスの補助金を出しているのも特徴です。
次世代ZEH+(注文住宅)実証事業と同様に、蓄電システムにはkWhあたり2万円、V2H充電設備(充放電設備)には75万円または補助対象経費の2分の1のいずれか低い金額を補助金として出しています。
地方自治体の補助金
東京都や神奈川県など、自治体が太陽光発電設備の導入に対する補助金を出しているケースもあります。
東京都では20万円から最大210万円、神奈川県では太陽光発電設備1kWあたり5万円、蓄電システム1台あたり12万円の補助金があります。
応募条件や期間などは自治体によって異なるため、住んでいる地域で利用できる補助金制度がないか確認してみましょう。
なお、自治体の補助金制度が利用できる場合は、国が実施しているZEH支援事業などの制度と併用できることが多いため、よりお得に太陽光発電システムを導入できる可能性があります。
太陽光発電の設置にかかる初期費用を無料にする方法
太陽光発電は補助金制度を利用できたとしても、いくらかは自己負担が発生することが一般的です。
しかし、「自己所有」ではなく「PPA」という所有方法であれば、初期費用0円で太陽光発電設備を導入できます。
「初期費用を可能な限り抑えつつ、太陽光発電を導入したい」という方におすすめの所有方法です。
PPAは、 PPA事業者(太陽光発電の設置・発電事業者)が一般家庭の屋根や企業の屋根・空きスペースに、事業者の負担で太陽光発電システムを設置することが特徴です。
需要家(太陽光発電システムを設置してもらう側)は、太陽光を無料で設置できる代わりに、自家消費した分だけをPPA事業者に電気代として支払います。
PPAでは、太陽光発電システムの設置や運用、保守などをすべて任せられることに加え、契約期間終了後、設備を無料譲渡してもらえることも魅力です。
ただし、電気料金が安くなるとは言い切れないことや、発電量が見込める場所にしか設置できないなどの注意点もあるため、自己所有との違いを比較して検討しましょう。
まとめ
今回は太陽光発電の設置費用相場や、設置費用を抑えるために活用できる補助金、設置費用無料で導入する方法などを解説しました。
太陽光発電システムは節電・省エネや、環境に配慮した暮らしにつながるなどのメリットがありますが、設置にかかるコストがハードルになりがちです。しかし、国や自治体が太陽光発電システムの導入を促進するために補助金制度を用意しているため、積極的に利用してみるとよいでしょう。
なお、太陽光発電システムの初期費用を可能な限り抑えたい場合は、PPAモデルを採用している「シェアでんき」がおすすめです。
シェアでんきなら、初期費用無料・月額費用無料で導入できるプランを提案可能です。
契約期間中はメンテナンスや維持・管理にかかる費用もシェア電気の負担となるため、契約者に手間や金銭的負担がかかる心配もありません。
「太陽光発電システムを設置したいけれど、初期費用の負担が心配」という方は、ぜひ一度シェアでんきへお気軽にご相談ください。